日本で家族葬が増えつつある理由

従来の日本的な葬儀は、できるかぎり華やかに、ということがひとつのポイントのようになっていました。葬儀の席に何名の参列者を呼ぶことができるかによって故人のステータスを推し測る風潮も少なからずあり、有名人でなくても家族のほうにはせめて最期の瞬間ぐらいは盛大に見送ってあげたい、という想いが強くありました。

ところが、2000年を過ぎた頃から、日本人の死生観が変容し、葬式に対しての考え方も次第に変わっていきました。少人数の参列者だけを招き、気心の知れた人たちのなかで故人を偲ぶことができる家族葬は、そうした時代のニーズを敏感に反映した葬儀のかたちであり、家族にとっても安心できるお見送りのスタイルとなっています。

核家族化が進み、高齢化がますます深刻になりつつある日本において、家族葬は今後ますます浸透すると見られており、スタンダードな葬儀プランとして定着する可能性を秘めています。家族葬がここまで日本で広がった背景にあるのは、日本人の個の確立であると言われています。かつて、日本では死さえもパブリックなものであり、近隣で不幸があるとその町内の人たち全員が参列に行くほど、葬儀はコミュニティの維持という面でも大切な機能を担っていました。

しかし、時代が変わるにつれ、個という意識が芽生えるようになると、死は個人のプライベートであり、葬儀はきわめてプライベートな儀式であるととらえられるようになりました。家族葬の浸透は、日本人の死生観が変わりつつあることのひとつの表れでもあるのです。